平成28年度東京都立入試より今まで続いてきた入試制度が変更される。変更されるのは一般入試制度のみで、推薦制度に関しては現行制度のままである。一般入試に関していえば、より一層当日点でどれくらいの点数を取るか、ということが重要になったように思う。
受験生はもちろん、中1・2の生徒、そして保護者の皆様にも都立高校入試制度がどのように変わりどの点が重要になるのかということをぜひ知っていただきたい。
内申点、教科数、当日点と調査書の比率が変更
28年度の都立入試で大きく変更されたものは3点ある。
この3点について詳しく見ていきたい。
※分割後期募集や二次募集、定時制高校などの扱いについては、
本記事では割愛することにする。
①内申点について
副教科と呼ばれる技術家庭、体育、美術、音楽の内申が2倍され、
英数理社国の5教科の内申はそのままで計算されるようになった。
たとえば、3年生の2学期の通知表の成績が、
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だったとする。
※東京都立高校入試では3年生の2学期の内申点が使われる!
まず5教科の内申と4教科の内申をそれぞれ合計すると・・・・
①5教科=19
②4教科=15
次に、②の4教科の内申を2倍すると・・・・
③4教科の内申の2倍=30
最後に①と③の内申点を足すと・・・・
①+③=49 ⇒都立入試で使われる内申点!!
となる。
都立入試で使われる内申点のことを換算内申点といい、これは65点満点で計算される。
この点数が高ければ高いほど、それだけ都立入試を受ける時点で他者よりも有利で都立高校に受かりやすくなる。
※調査書点の計算方法については、後述する。
一つ注意しなければならない点は、4教科が2倍されるため、場合によっては
5教科の内申点よりも4教科の内申が高い方が換算内申点が高くなるという点だ。
例えば、
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のような生徒の場合だと・・・
①5教科の内申=10
②4教科の内申の2倍=40
③換算内申点=50
となり、先ほど例として挙げた生徒よりも換算内申点が高くなってしまうのである。
つまり4教科の成績が高ければ、多少5教科の内申が低くても
換算内申点では有利になるのだ。
以上から、5教科の内申ではちょっと不安かも・・・という場合は、
是が非でも4教科の内申でカバーしていこう。その分都立高校に合格する可能性が高まる。
②教科数について
今までは工業高校や一部の都立高校で英数国の3教科で受験可能であった。
しかし、28年度からはそれがなくなり、原則すべての高校で英数国理社の5教科受験となった。
これによって、入試の当日点をどれだけ高くとるか、ということがより重要となった。
都立高校の入試問題は難しい。正直大人が解いてもてこずる問題も多い。
学校の教科書レベル以上の問題も多く出題されるため、入試用の勉強が必要不可欠だ。
都立入試の調査書点(=換算内申点)は3年生の2学期の通知表が使われるので、
3学期に頑張って勉強すればいいと思うかもしれない。
しかし、それでは対応できないほど都立入試は激化している。
倍率は平均すると1,5倍ほどになっており、これは3人受けたら1人落ちる計算になる。
参考HP:平成27年度東京都立高等学校入学者選抜(合格発表)
土壇場で焦らないためにも、都立高校に合格するためにもできるだけ早い段階から準備をすることをオススメする。
準備をする1つの案としては塾に通うことも考えられるだろう。
よければ塾選びの際に次の記事を参考にしてもらいたい。
③当日点と調査書点について
当日点とは、当日の入試問題の5教科で獲得した点数のことである。
調査書点は、先ほどご紹介した換算内申点から算出する点数のことである。
都立入試では、当日点と調査書点を合わせて合計1000点満点で計算し、その上で合否が決まる、
今までは当日点と調査書点の割合は学校によって変わっていたが、
28年度より原則すべての高校の当日点と調査書店の割合が7:3の比率になった。
つまり当日点は700点満点、調査書点は300点満点で計算されることになる。
【1】当日点(700点満点)の換算方法
入試では1教科100点満点で全5教科あるので500点満点である。
500に1,4倍を掛ければ700点となるので、合計した点数に1,4を掛ければ当日点となる。
例:当日5教科で380点取れたとすると・・・・
当日点=380×1,4=532 ⇒ 532点が当日点!
【2】調査書点(300点満点)の換算方法
※小数点以下は切り捨て
以上の方法で計算する。
仮に換算内申が59の場合の調査書点は、
となる。
当日点と調査書点をあわせて、受ける高校の合格基準点に達していれば合格、
達していなければ不合格となる。
比率が7:3となり、当日点の割合が高くなった分だけ5教科への対策が以前にも増して重要になった。
その分調査書点の配分が少なくなったため、調査書点が受ける高校の基準に達していなくても、
当日点で逆転合格!、ということが起きやすくなったといえるだろう。
もっとも今までも7:3の比率であった高校を受ける場合は何も変わりがないが。
まとめ
①4教科の内申が2倍に→4教科の内申を高くすることが非常に重要になる
②入試の教科が5教科に→付け焼刃では対応できない。早めの対応が必要
③当日点と調査書点の比率が7:3に→当日の出来次第では逆転合格も増えるだろう
高校進学は人生において非常に重要な選択である。
保護者の方や学校の先生、そして自分自身とよく対話をし、
後悔をしない進路をとってくれることを願う。