文部科学省が導入するアクティブラーニングとは何か?考えうるデメリットとは。

東京オリンピックが開催される2020年に学習指導要綱が改訂される。

文部科学省は「ゆとり教育」との決別を明言しており、ゆとり教育が緩み教育というふうに間違って解釈されたと明言した。

文部科学省は「ゆとり教育」と決別するからといって、以前の「詰め込み教育」に戻るわけではなく、子供の理解の質を高める目的でアクティブラーニングの導入を急いでいる。

またもや、アクティブラーニングという聞きなれない言葉が出てきた!と考える人は多いだろう。今回は、このアクティブラーニングとは何なのかについて解説したい。

 

アクティブラーニングとは?

アクティブラーニングとは・・・

生徒に議論や意見交換、発表などを行わせて能動的に授業に参加し、物事を多角的に考えることだ。

 

つまり、先生が教壇に立って一方的に物事を教えるのではなく子供が「参加型」で学んでいく授業のことをアクティブラーニングと言う。

具体的には、

ディスカッション
ディベート
フィールドワーク
実習
プロジェクト学習

などが挙げられる。

例えば、中学校2年生の歴史の授業にて、「明治維新」を学習するとしよう。

従来の授業では、明治維新が起きた経緯、明治維新の登場人物、明治維新の内容、などなどを先生が教壇に立って黒板を使いながら子供達に説明した。

アクティブラーニングでは、

『なぜ明治維新が起きたのか?』
『明治維新で日本人はどう変わったのか?』

などのトピックを5~6人のグループで調べあげ、発表する。そしてその発表を基に、各グループでディベートを行うといったようなものだ。

 

もちろん従来の授業でも、グループワークなどのアクティブラーニングは導入されていたが、今後はこのアクティブラーニングをもと増やしていこう!というのが文部科学省の狙いだ。

そして、教員にもアクティブラーニングの方法などをレクチャーしなければならないため、しっかりとした行動指針が必要になってくる。それが指導要綱なのだ。

 

 

アクティブラーニングのデメリット

著者の私は、小・中・高・大と日本の教育を受け、現在10年以上教育業界に身を置いている。

大学時代、1年間だが交換留学を通してアメリカの教育も受けた。日本では教育学を専攻しアメリカではpedagogy(教育学)の授業も多く学習した。

そんな私が、現在の日本の教育制度にアクティブラーニングを導入する際のデメリットについて考えてみたいと思う。

 

先に述べておくが、アクティブラーニングに関して反対ではない。

起こり得るデメリットについて述べさせていただく。

 

1、授業の進捗が大幅に遅れる

アクティブラーニングは知識の深化には非常に役立つ。

自分で調べて、自分でまとめて発表したり意見を交換するからだ。だから、単なる知識ではなくより深い知識、そして知識を活用する!という目的には非常に即しているのだ。

しかし、一方で時間がかかり過ぎてしまうというデメリットもある。

例えば、座学で教師が一方的に教える授業であれば1ヵ月で明治時代の授業を行うことは可能だ。一方、アクティブラーニングを導入しての授業だとしたら、1ヵ月でせいぜい明治維新についてしか学べないだろう。他にも自由民権運動、議会、戦争と学ぶことはオンパレードだ。

現在の中学校では、一般的に中学2年生の1年間をかけて日本の歴史をすべて学ぶ。

もし本当にアクティブラーニングを全面的に導入するのであれば、学習する内容を大幅に減らす必要があるのではないだろうか。

現在、文部科学省は、「学習する内容を削減することなく、アクティブラーニングを全面的に導入する」としているので、正直かなり心配である。

 

ちなみにだが、アメリカの大学でアクティブラーニングが大いに機能している理由は、

信じられないほどの予習課題が出されるからだ。次の授業までに関連図書を2冊読んでこい、100ページ読んでこいなんていうのはザラだった。

一方、中学・高校で学習する内容は日本に比べてはるかに少ない印象がある。

 

 

2、受験との歪み

同時に大学受験を中心に受験改革が行われている。高校受験に関しても知識一辺倒ではなく、記述させる問題も増えてきた。

しかし、アクティブラーニングの全面的導入よりも受験改革の方が圧倒的に時間がかかってしまう。これは制度的な問題だからだ。

指導内容と試験であれば、先に指導内容を改革して、それから試験を改革せざるを得ない。先に試験を全面的に改革することは公教育であれば無理だからだ。

 

すると、時期によっては、アクティブラーニングの授業内容が多く導入されているのに、受験は旧態依然のままになってしまう「歪み」が生まれる。

特に日本は塾・予備校産業が活発で都心部では中学3年生の7割が何かしらの学習サービスを利用している。

受験体制がそう簡単に劇的に変化するとは思えないのだ。もしかしら、私立中学・高校に進学する生徒がより大学受験にて有利になるような形が進んでいくかもしれない。

 

 

3、落ちこぼれ層の更なる落ちこぼれ

アクティブラーニングは欧米を中心に導入され、現在日本は遅れて全面的導入を検討している。

私が欧米の教育学で学習した内容だが、アクティブラーニングは落ちこぼれ層のさらなる落ちこぼれを招いてしまうというデータもあった。

というのも、先生が教壇に立って一方的に指導する学習では、ある意味「自分の不出来さがバレずに済む」というメリットがあったのだ。

子供自身が発表する機会が少ない授業形式では、個々人の能力が見えづらい。一方、アクティブラーニングでは、ディベートや発表、グループ学習を行うため、能力の高低が周りに見やすくなってしまうのだ。

実際に、アメリカではアクティブラーニングで力を発揮できない生徒は、いじめやからかいの対象となってしまう。アメリカの映画を見ればよくおわかりになるだろう。

欧米では、日本に比べてLDや自閉症などの生徒達への理解や「受け皿」の準備が整っている。

親もLDや自閉症などの状態に気づいているケースも多く、学校の教師も親に報告をする習慣がついている。そして、LDや自閉症などの場合は特別な環境で授業を受けるようになっているのだ。

一方日本では学習障害(=LD)や自閉症の理解が遅れている。親自体が子供のLDや自閉症に気付いていない場合も多く、普通学級にも、LDや自閉症、発達障害の生徒は何名もおり、普通に授業を受けている。

彼らはアクティブラーニングでは活躍できない場合が多い。

 

するとより一層、勉強ができなくなってしまうというケースもありうるだろう。

 

 

 

上記が私が考える日本にアクティブラーニングを全面導入した場合の考え得るデメリットだ。

何度も言うがアクティブラーニングに反対なわけではない。考え得るデメリットを予め想定しておき、対処が必要だと言いたいのだ。

特に親の場合は、わが子の教育に関することだから自分の子供が活躍できるような手筈を整えてあげるべきだろう。

 

 

 

アクティブラーニング導入の目的

なぜ、今までの授業システムでは駄目なのか?アクティブラーニングを全面導入する目的とは何なのか?

について考えてみよう。

 

抽象的ではなく、間違いなく日本はグローバル化の波に飲まれる。

今の子供が大人になる頃には多くの日本人がアジアを中心として世界中で仕事しているし、多くの外国人が日本で仕事をする。

そこで求められるのは、「ただ知識を詰め込んで覚える」という教育システムから、「知識を活用して問題を解決していく」といった姿勢なのだ。

今はとても抽象的に聞こえるかもしれないが、10年後、20年後この意味が明確になっていくだろう。

 

みんなが同じ仕事をして、みんなが言われたことをやっていればお給料がもらえる時代は残念ながら終わりを迎えつつあるのだ。

アクティブラーニングは「思考力・判断力・表現力」を育成することを目的にしている。「主体性・協働性・多様性」の育成も目的としている。

例えば、小さい頃からグループワークをたくさんこなしていき、協働性を磨くということだ。これがグローバルに活躍する人材の育成に繋がっているわけである。

 

まとめ

お上がアクティブラーニングを全面的に導入すると決めた。

今後、わが子がどんな教育を受けるのかを理解して対策する必要があるだろう。

次回はアクティブラーニングの導入で活躍できる子供を育てる方法でも書こうかと思う。楽しみにしていてくれ。