今回は教育業界に長年勤めてきた筆者が、数千人以上の子供達、親と接してきて「勉強ができない子供」の特徴をまとめてみたい思う。
母親は自分の子供しか見ていないので、比較材料が無い。だから不安になる。しかし、勉強ができない子供にはある一定のパターンがある。自分の子供がどのパターンなのかを見極めて、ご家庭の教育の参考にしてほしい。
※私が数千人の子供と数千人の親から出たデータを独自に紹介しているものなので、効果を保証するものではないことに留意してほしい。
勉強ができない子供の特徴
私が数千人の子供達に勉強を教えてきて、勉強ができない子供には、2つの段階があるように感じる。
2つの段階とは、「理解」と「忘却」に関してだ。この2つを意識して自分の子供に注意するだけでも、家庭での指導方針が決められるであろう。
1、理解の段階
まず、そもそも「説明されている内容」が理解できない子供がいる。
この理解できない段階も細分化することができ、「文字情報」の理解が弱いのか、「言語情報」の理解が弱いのか、あるいはその両方なのか?に大別できる。
■「文字情報」が弱い場合
書いてある文章の意味を掴みとることが弱い子供がいる。
たいていの場合は、幼稚園~小学校低学年の間にその傾向が出てくるようだ。こういった生徒は文字を理解するのも苦手だが、小学校低学年だと、文節が区切れない。
「かれは、とてもかなしくおもってむらにかえりました。」
という文章の区切れが掴みづらく、「とてもかな」で切ってしまったりする。
この場合の有効な勉強方法としては、「音読」と「質問」だ。
小学校低学年くらいから、この傾向が出ている子供は母親が子供と一緒に国語の教科書や絵本を読んであげるといい。なるべくおだてて、楽しみながらやってくれ。残念だが、頭を良くしてあげることは不可能なので、パターンで覚えさせていくしかない。
この時期に訓練を怠ると、小学校高学年・中学生になっても文字情報を理解する力が乏しくなる。
(子供が小学校高学年・中学生の場合は、できる学年まで遡って学習してくれ。)
次に必要なのは、「質問」だ。
音読と合わせて、質問をしてあげるといい。「なぜかれは、とてもかなしくなったの?」と子供に問いかけるのだ。すると、子供はその理由を文章中から探す訓練ができる。
実は文字情報が弱い子供は、文字を文字として認識する能力が乏しいので、「自分で探す」自発的な訓練が重要なのだ。
非常に根気のいる作業だが、是非楽しみながらやってくれ。
■言語情報が弱い場合
言語情報が弱い子供は想像する力が乏しい。
「りんごを3個、みかんを10個買いました。合わせて何個ですか?」
と小学校1年生に問いかけてみると、これは算数の問題ではなく、発せられている言語情報が理解できずにわかっていない場合が多い。
そういった子供は、3~5歳くらいから、「どもり」があったり、自分の言いたいことをうまく伝えられないケースが多い。
あるいは、お母さんが言っていることを全然聞いている素振りがなく、「この子全然言うこと聞かないんですよ~。」なんて母親も多い。
実は、言葉が脳に伝達するスピードが遅いだけなのだ。
まず、お母さんに気を付けて欲しいのは、「絶対に子供を焦らせずに最後までしっかり聞いてあげることだ。」
パブロフの犬をご存じだろう。鈴を鳴らして餌を与えた犬は、そのうち餌を与えなくても鈴の音でヨダレを出してしまう。
子供も成長していない状態だと動物に近しい部分があるので、母親が話を遮るのが当たり前になると、子供はシャットダウンしてしまう。
言語情報が弱い場合は、子供にとにかく話をさせて聞いてあげるといい。
「今日はどんなことをしたの?」「明日は何したい?」「なぜ、そう思ったの?」
と、考えさせる質問をしまくって、聞いてあげるのだ。すると子供は、「えーっと、えーっと」と言いながら、想像する力を働かせるので、頭の中に言語が作られる。
頭の中に自発的な言語が作られると、会話においてもあてをつけることができる。つまり想像することができるのだ。
実際、数千人のお母さんと子どもと接してきたが、
母親が口うるさく、子供の話を聞かず、会話を遮る家庭ほど、子供の意思表示が弱い。そして、無気力な子供が多い。
女性は、会話における頭の回転が非常に速いので、「そういえば」「っていうか」になりがちだ。しかし、子供の脳はそんなに早く成長しない。だから、最後までしっかり聞いてあげて、質問をしてあげることを心がけないといけない。
余談:
優しい祖父母と接する機会が多い子供は、活発な子が多い。
祖父母の方が、余裕をもって孫に接するので、「うん、うん、すごいね」「うん、うん、偉いね。」「うん、うん、そうだね」と、じっくり話を聞いてあげれるかもしれない。
月に1~2回くらいはご両親のところに預けてみてはどうだろうか。
子供の成長度合いに合わせてコミュニケーションを取ってくれ。
サービス業だと思って、子供に接するといい。
2、忘却の段階
次に、理解した内容・覚えた内容を「忘れてしまうスピード」が速いか遅いかという段階がある。
1週間経っても覚えていられる子もいれば、1日経ったらすっぽり忘れてしまっている子もいる。
記憶に関しては、脳の海馬に蓄積された情報が短期間に何度もアクセスされることによって定着する。まぁ、簡単に言えば繰り返しだ。
その繰り返しが必要な量と期間に関しては、子供それぞれによって特徴があるので、分野によっても違うし、子供の興味によっても変わるだろう。
母親は自分の子供の記憶の「忘却スピード」を把握して、接してあげることが重要だ。
忘却が速い場合
例えば、理解するのは問題ない。でも忘却スピードが速い。(キャパが少ない)
というのは実は非常にやっかいだ。
なぜなら、小学校での勉強カリキュラムでは、同じ単元を何度か繰り返すように作られていてペーパーのテストも定期的に行う。
先生によっては、「では分数の計算のやり方を復習してみましょう」と、レクチャーしてから、「テスト」を実施する先生もいる。むしろその方が多いかもしれない。
そのため、小学校のテストでは特別な勉強をしていなくても90~100点は当たり前に取れる。むしろ90~100点が取れていない場合は理解に問題があると考えてよい。
そういった授業のカリキュラムの関係上、自分の子供が忘却スピードが速いのかどうかを見極めるのが難しいのだ。
中学1年生の2学期頃になって一気に勉強ができなくなるパターンが多い。
■解決策1:定期的にドリルや実力テストをやらせてみる
知識がちゃんと定着しているか(抜けているか)を計るために、外部の実力テストを受けさせてみるといいだろう。
過去に学校で習っているにも関わらず、散々な結果であれば、子供の忘却スピードが速いとわかる。
いきなり計算ドリルをやらせてみるのもいいだろう。「あれ?なんだっけ?」があまりにも続くようであれば、注意したい。
■解決策2:習慣的に勉強させる
忘却スピードが速ければ、接触回数を増やすしか方法はない。
自宅で家庭学習の習慣をつけさせるか、学習塾などの外部の力を使って接触回数を増やすしかないだろう。
中学生の場合であれば、自宅での家庭学習の習慣が無ければ、成績なんて絶対に上がりっこないから、どのみち勉強の習慣をつけさせることは非常に重要であろう。
余談:
なんでもかんでも母親がやってしまう子供は忘却スピードが速いように感じる。
子供がつまづきそうになったら、母親が先回りして障害を取り除いてしまうような母親だ。おせっかいや頭の回転が早い人に多い。
子供とお母さんを並べて座らせた状態で、子供に勉強を教えていることがある。すると、子供の様子が気になってついつい見てしまい、「あっ」「そこ違う」とか、ついつい口を出してしまうのだ。子供離れしておらず、子供が自分の手から離れていないと考えてしまっている母親に多い。
そういった子供はやっかいだ。
自分で何もしなくてもすべて母親がやってくれてしまうので、受動的に物事を捉える傾向にある。
受動的に物事を捉えるので、情報が重要なものとして残らないように感じるのだ。
小さな子供をお持ちのお母さんは肝に命じてほしい。
まとめ
勉強ができない子供の特徴を述べた。
これは私が過去10年間で数千人以上の子供、そして母親を見てきて感じていることだ。実験に基づいていないことを留意してほしい。
綺麗ごとは言わないが、頭がいい、悪いのは能力に影響される部分は大きい。
しかし、母親や周りの親の接し方で子供の才能を潰してしまうこともあるし、大きく開花することもあるだろう。
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勉強でお困りの親御さん方に是非お目通し頂ければと思いますので、
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